【アルギニン】とは?効果や男性ホルモン（テストステロン）との関係まで医師が解説。

アルギニン(とくに、Lアルギニン)は、性機能の改善や男性らしさの増強を目的としたサプリに多く含まれている成分です。今回は、Lアルギニンとはどんな成分なのか、本当に効果は期待できるのか、研究で解析された結果をもとに医師がご説明します。

L-アルギニンは男性ホルモン(テストステロン)を増やすことはできない

まず第一に、L-アルギニンは、テストステロンの量を直接増やすことはできません。つまり、男性ホルモンの量をアップさせたい、という目的でアルギニンを摂取することはあまり意味がありません。

L-アルギニンは、摂取後に体内で一酸化窒素（NO）という物質に変換され、血管を拡張させます、これによって全身の血流が増加し、これが低テストステロンに伴って起きるEDの症状の改善に役立つと考えられています。

すなわち、ED改善以外の効果、たとえば、男性らしい活力が手に入る、精液の量が増える、性欲が高まる、などはアルギニンの直接の効果としては考えにくいです。

L-アルギニンが多く含まれる食品は?

L-アルギニンは以下のような多くの食品に含まれています。

• 赤身の肉
• 乳製品
• 鶏肉
• 魚

アルギニンの効果・有効性/他の薬との相性は?

L-アルギニンは、EDやその他多くの症状の治療薬として研究されており、一般的に安全なサプリメントと考えられていますが、単体では健康的な勃起機能の回復にはあまり有用ではないとされています。

そこで、L-アルギニンは他の物質と一緒に使われることで、サプリメントとして販売されていることが多くあります。ここでは、L-アルギニンとよく一緒に使われるような物質について、その相互作用などに関する研究結果をご紹介します。

L-アルギニンと塩酸ヨヒンビン

ヨヒンビン塩酸塩は、EDの治療薬として承認（第一類医薬品）されています。2010年に行われたL-アルギニンと塩酸ヨヒンビンの併用療法に関する研究では、この治療法はある程度期待できることがわかりました。しかしこの研究では、この治療法は軽度から中等度のEDにのみ意味があるとされています。

L-アルギニンとピクノジェノール

ピクノジェノールは、Pinus pinasterと呼ばれる木の松の樹皮から採取されたサプリメントの商標名で、L-アルギニンとピクノジェノールを組み合わせることで、EDに対する効果が期待できます。Journal of Sex and Marital Therapy誌に掲載された研究によると、L-アルギニンとピクノジェノールのサプリメントを内服することにより、25歳から45歳のEDの男性の多くにおいて、正常な勃起が得られたと報告されています。

アルギニンの副作用について

他の医薬品やサプリメントと同様に、L-アルギニンにもいくつかの副作用の可能性があります。出血のリスクの増加、体内のカリウムのバランスが崩れる、血糖値の変化、血圧の低下、などの可能性が指摘されています。

勃起不全の治療薬・高血圧の薬を飲んでいる人は注意が必要

アルギニンには、血管を広げる作用があります。したがって、すでに血管を広げるような薬を飲んでいる方は、そのサプリの服用については注意が必要です。使用を検討する際には、かかりつけの医師等に相談することをおすすめします。

とくに、すでにシルデナフィル（バイアグラ）やタダラフィル（シアリス）、バルデナフィル（レビトラ）などのED治療薬を服用している場合は、L-アルギニンの服用に注意が必要です。
また、L-アルギニンは血圧を低下させる可能性がありますので、低血圧の方や血圧をコントロールする薬を服用している方は、L-アルギニンの摂取を避けるか、試す前に医師に相談するのが良いでしょう。

結論: アルギニンではテストステロン(男性ホルモン)は増えないが、EDの改善は期待できる

以上のように、L-アルギニンにはテストステロンを増加させる効果はありませんが、テストステロン低下の結果としての勃起不全の症状を改善させる可能性があります。

ただ、その効果は限定的であるため、こと男性機能改善を目的としたL-アルギニンサプリメントの摂取は、期待する効果が得られないかもしれません。

CLINICTEN メンズヘルス外来のご紹介

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