テストステロンで目つき顔つきが変わる?見た目への影響を医師が解説

この記事を書いた医師

石黒 剛

GO ISHIGURO

石黒 剛

GO ISHIGURO

医師

大学在学時から現在の病院中心の医療システムに疑問を持ち、 日常生活に医療を提供するシステム作りをミッションに掲げる。 2019年、訪問診療専門の「いしぐろ在宅診療所」を兄と二人で開業。 クリニックTENでは、働く世代に焦点を当て、生活に溶け込む医療機関の実現を目指す。

テストステロンは男性らしさを支えるホルモン

 みなさん、テストステロンという物質をご存知でしょうか。男性ホルモン、ときくとわかる方もいらっしゃるかもしれません。テストステロンは様々な役割を持っています。代表的なものには、胎児期での一次性徴や思春期の二次性徴、筋力の維持などを促進するというものがあり、男性らしさを維持するためには必要不可欠なホルモンです。

【男性ホルモン】テストステロンと目つき・顔つきの関係

テストステロンが高いと、好感度が上がる?

 テストステロンが男らしさを支えているのだから、テストステロンがたくさんあればそれだけ女性からの好感度は高くなる(=モテる)のではないか、と考える人もいるでしょう。
実際、この仮説を裏付けるような研究は確かに存在します。ある研究では、テストステロン値が高い人の笑顔のほうが低い人の笑顔よりも良く評価しているということがわかっています。さらに、アメリカ人を対象にした大規模な調査により、テストステロンの値が高い男性は生涯におけるパートナーの人数が多かったり、複数回の結婚をしやすい傾向があるということも報告されています。

 この研究の興味深いところは、BMI(肥満度)や教育水準(学歴)といった、いかにも異性からの評価に関係がありそうな要素を取り除いて考えたとしても、テストステロンの値と異性からの評価の相関関係が示されているというところです。こういった研究の存在が、テストステロンの値が高い人は魅力的な顔つきやまなざし(目つき)を持っている、テストステロンを高くするとモテるらしい、というウワサのもととなっています。

 では、テストステロンの値が高い人では実際に顔の形や表情筋のつき方に特徴があるのでしょうか?

テストステロンが高いと、顔の構造が変わる?

 テストステロンが高いと「目つきが変わる」「顔つきが変わる」と言われる理由としてまず考えられたのが、ホルモンの働きで実際に顔の構造が変わったり、表情筋が発達したりするからではないか、というものでした。

 顔の形を評価する指標の1つにfWHR(facial-width-to-height ratio)というものがあり、これは顔の幅と長さの比を表しています。このfWHRについては、2010年頃まではテストステロン量と関係があるのではないかという研究結果が出ていました。fWHRが大きい(=顔の横幅が広く、縦の長さが短い)顔が「テストステロンの高い顔」だ、というものです。

しかし、最近、とくに2019年以降では、テストステロン量とfWHRには相関関係がないということが複数の研究で示されるようになっています。また同じ研究で、テストステロンの増加によって表情筋の量にも変化がないことも示唆されています。

 つまり、テストステロンが高いからといって特徴的な顔立ちをしているということはなく、笑顔をつくる頬や目の周りの筋肉が特段発達しているというわけではないようです。

それでも、テストステロンが増えると「目つきが変わる」といわれる理由

テストステロンが高いと、対人関係に前向きに

 では、実際の顔の構造は変わらないのに、どうしてテストステロンが増えると「目つき・顔つきが変わった」「表情豊かになった」といわれるのでしょう。

 現在もっとも有力な仮説は、テストステロンが高いことによって前向きになる、社交性が改善される、というものです。テストステロンは、やる気や前向きな思考など、いわゆる「活気・活力」を維持する上で重要なホルモンであることが示されています。

 前向きにいきいきと仕事に取り組む姿や、活発にコミュニケーションをとる姿が、顔つきがかわった気がする、なんだか素敵に見えると言われ、結果的に異性からモテるようになる要因なのかもしれません。

 逆に、テストステロンが低下してくると、モチベーションを高く保つことが難しくなったり、気分が落ち込んだりして、表情も暗くなってしまうのではないでしょうか。

年齢とともに低下するテストステロン

 男性らしさを支えるホルモンであるテストステロンですが、実はその量は20歳前後がピークと言われており、そこから年齢とともに量が減ってしまいます。その原因としては、テストステロン産生の指令をだす物質であるGnRHが減少してしまうこと、そしてテストステロンを産生するライディッヒ細胞の数そのものが減ってしまうことが挙げられます。

 テストステロンが低くなることで、心にも身体にもさまざまな症状が出ることが知られており、こうした症状は男性の更年期障害ともいわれています。テストステロンを高める方法にもいろいろありますが、中でも確実性が高いといわれているのはテストステロン補充療法です。当院でもテストステロン補充療法を扱っております。

クリニックTENは渋谷駅前のクリニックです

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クリニックTENは、渋谷駅徒歩0分で内科・皮膚科・泌尿器科を中心に診療を行うクリニックです。Web問診やキャッシュレス決済を採用し、スムーズな体験を提供するあたらしいクリニックです。

参考文献一覧

Testosterone levels and their associations with lifetime number of opposite sex partners and remarriage in a large sample of American elderly men and women

Testosterone, Smiling, and Facial Appearance

Telling facial metrics: facial width is associated with testosterone levels in men

Further Evidence that Facial Width-to-Height Ratio and Global Facial Masculinity Are Not Positively Associated with Testosterone Levels